第46回 九州地区中学校国語教育研究大会 宮崎大会

(令和5年度11月開催予定)

令和5年度、11月に宮崎市立生目南中学校において、九州大会が開かれます。研究授業並びに、各地区の研究発表が行われます。コロナ禍において研究を進めることが難しい中、様々な形で県内の先生方に参加していただき、よりよい大会にできたらと考えています。

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令和4年度研究主題

「ことばを生かし、学びをつなぐ国語教室の創造」

1 主題設定の理由

(1)宮崎県の生徒を取り巻く環境

令和2年1月より拡大した新型コロナウイルス感染症は、宮崎県の生徒たちにも多くの影響を与えた。学校現場では、対策のため、臨時休校や学年閉鎖、分散登校などが行われるとともに、対面での学習やグループ学習など、これまで日常的に行われてきた学習形態での授業を行うことが難しくなった。そのため、対面によるグループ活動がほとんど行えていない。そのような中、社会と子供たちの未来を見据え,GIGAスクール構想による一人一台端末等,学校におけるICT環境が整備され、ICTの利点を生かしながら、授業の中でオンラインやリモートなどを活用した話し合い活動を実践してきた。

(2)学習指導要領改訂の趣旨

令和3年度から全面実施となった新学習指導要領の国語科の学習内容においては、「言葉による見方・考え方」を働かせて、国語の資質・能力を育成することを目指すことや、語彙が全ての教科等における資質・能力の育成や学習の基盤となる言語能力を支える重要な要素であることから、語彙指導を改善・充実することが求められている。また、情報と情報の関係を捉え整理し、適切に表現できるようにするために、情報の扱い方に関する指導の改善・充実の重要性も指摘されている。さらに、全ての領域において、自分の考えを形成する学習過程や伝統文化に関する学習が重視されている。

(3)宮崎県の生徒の実態と課題(令和3年度)

宮崎県(公立)の全国学力・学習状況調査(令和3年度)の結果を、学習指導要領の領域ごとに分析すると、「話すこと・聞くこと」が2.9、「書くこと」が3.3、「読むこと」が4.8、「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」が2.4ポイント全国平均を下回っている。

これらを問題形式ごとに見てみると、学習指導要領の領域を問わず、記述式の問題を苦手としている生徒が多いことが分かった。記述式の問題をさらに分析していく中で特に目立ったのは、「記述式の条件を満たしていない」ことと、「無回答率が高い」ことの2点である。

また、同時に行われた、生徒質問紙を分析すると「国語の勉強は好きですか」という質問に対して、「当てはまる」、「どちらかと言えば当てはまる」と答えた生徒は、全国平均とほぼ変わらなかった。

しかし、「国語の授業はよく分かりますか」という質問に対しては、「当てはまる」、「どちらかといえば当てはまる」と答えた生徒が、全国平均では80.1%なのに対して、宮崎県では59.9%であった。

さらに質問紙を分析したところ、「どちらかと言えば当てはまらない」、「当てはまらない」が多かった項目は、「目的に応じて、自分の考えを話したり必要に応じて質問したりしていますか」、「目的に応じて、自分の考えが伝わるように根拠を明確にして書いたり表現を工夫して書いたりしていますか」、「目的に応じて文章を読み、内容を解釈して自分の考えを広げたり深めたりしていますか」

の3点であった。また、令和元年度にスタートした文部科学省のGIGAスクール構想により、本県でも生徒一人一台のICT端末が活用されるようになってきたが、ICTに関する質問項目では、授業でのICTの活用が全国に比べて遅れている実態も明らかになった。

これらの結果から以下の2点が課題として挙げられる。

1. 生徒側:言語活動の中で国語の知識や技術の活用の推進。

2. 教師側:ICTの効果的な活用方法についての研究と実践。

(3)研究の方向性

本県ではこれまで、「ことばを蓄え、ことばを生かす国語科教室の創造」という研究主題のもと、国語教室での学習の礎となる、国語科学習における必須の学習用語を生徒一人一人に身に付けさせ、生徒相互の共通語としてきた。あわせて、語彙力を高めていくことで、ことばを介した思考力や表現力、創造力をはぐくみ、豊かな国語教室の創造につなげていく取組を行ってきた。

本研究では、これまでの研究を踏まえつつ、どこで、どのようにICT機器を活用すれば、生徒が身に付けた国語の知識や技術を生かしていくことができるのかを考えるために、研究主題を「ことばを生かし、学びをつなぐ国語教室の創造」として、アナログとデジタルのベストミックスを図った授業実践に取り組むこととした。

2 研究の仮説

身に付けたことばを土台とし、その言葉を生かせるような言語活動を設定すれば、さまざまな場面で学びをつなげようとする生徒を育成できるであろう。

3 研究主題のとらえ方

(1)「ことばを生かし」について

「ことば」とは、本研究では次の二つに定義する。

一つは語彙である。文中の語句の意味を適切にとらえたり、語句のもつニュアンスの違いを感じ取ったりするための知識や漢字などの言語事項の知識である。

もう一つは学習用語である。例えば、「情景描写、文章構成、表現技法」などは、教材内容を理解する上で欠かすことのできないものであり、教材を通して学習したことを明確にできる「ものさし」である。

以上のことから、「ことばを生かす」とは「習得した知識や技能を活用すること」と定義する。

(2)「学びをつなぐ」について

新学習指導要領では、教育課程全体や各教科などの学びを通じて「何ができるようになるのか」という観点から、「知識及び技能」「思考力,判断力,表現力等」「学びに向かう力,人間性等」の3つの柱からなる「資質・能力」をつないで、育んでいくことを目指している。

さらに新学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善を重要視している。したがって、生徒たちが能動的(アクティブ)に学び続ける「アクティブ・ラーニング」の視点から、「何を学ぶか」だけではなく、「どのように学ぶか」を重視して、授業を改善していく必要がある。生徒たちが学んだ一つ一つの知識がつながり、「わかった」「おもしろい」と思える授業、周りの人たちと共に考え、自分の考えを広げたり深めたりする授業など、自分の考えを表現するための知識や技能を育んでいくような実践が、「学びをつなぐ」ということである。

なお、指導に当たっては、「学習課題をつかむ、学習課題を追求する、自分の学習に対する考察をする(振り返る)」という、単元全体を通した学習過程を組むこととする。

【根拠】2020年度、子供の学びが進化します! 新しい学習指導要領、スタート! 文科省

【根拠】「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善 栃木県総合教育センター

3 研究の柱

「ことばを生かす」
(1)習得した語彙・学習用語を活用させる。

文中の語句の意味を適切にとらえたり、語句のもつニュアンスの違いを感じ取ったりするための知識や漢字などの言語事項の知識である語彙、「情景描写、文章構成、表現技法」などの教材内容を理解する上で欠かすことのできない学習用語を習得させ、その後の学習で活用させる。(主体的な学び)。

「学びをつなぐ」
(2)単元構成を工夫する。

①生徒が「何を学ぶか」、「どのように学ぶか」の見通しがもてる単元計画を作成し、生徒に示す。(主体的な学び)

②生徒が、円滑にお互いの意見を交流できるように、習得した学習用語を活用した言語活動を設定する。(対話的な学び)

③「何を学んだか」を自覚でき、「学んだことを生かせた」と実感をもてるようにするため、学習の内容を振り返る時間を設ける。(深い学び)

「教師をつなぐ」
(3)教育実践を共有する。

〇言語活動の共有フォルダをホームページ上に作り、教師間で授業実践を共有する。

研究主題

「ことばを生かし、学びをつなぐ国語教室の創造」

教師をつなぐ

指導案形式(1月版)[PDF] 指導案形式フォーマット[WORD]